五十肩の治し方は?自宅でできるストレッチ・改善法・予防法を解説!
五十肩を発症すると突然のように腕が上がらなくなり、激しい肩の痛みに見舞われます。
はじめて発症した場合、どのように対処してよいか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
症状の改善にはストレッチが効果的ですが、開始時期を誤ると症状を悪化させたり、回復が遅れたりするため注意が必要です。
記事の中では五十肩の改善におすすめの6つのストレッチも紹介しているので、適切な時期に積極的に取り組み、早めにつらい症状を改善に導きましょう。
目次
五十肩とは?
五十肩は医学的に肩関節周囲炎と呼ばれており、肩関節まわりに炎症を生じる疾患の総称です。
好発年齢は40歳から65歳ですが、特に50歳ごろに多く見られることから五十肩という名前が付けられています。
五十肩に悩まされている方は多いのですが、現在のところはっきりした原因はよく分かっていません。
ただ、五十肩を発症する方の多くに肩まわりの筋肉や関節の硬さが見られます。
時期別の五十肩の症状および治し方
五十肩の症状は発症から時間が経つにつれ徐々に変化します。
大きく「急性期」「拘縮期」「回復期」の3期に分けられ、各時期ごとに次のような治し方が求められます。
- 痛みが強い急性期は安静に
- 関節が硬くなる拘縮期にストレッチを開始
- 痛みが弱くなる回復期は積極的にストレッチ
五十肩の時期別の特徴や治し方について詳しく見ていきましょう。
痛みが強い急性期は安静に
五十肩を発症するとおよそ2週間にわたり急性期が続きます。
急性期の特徴は安静時痛と夜間痛に悩まされ、じっとしていても肩が痛く、眠れないことも珍しくありません。
急性期のストレッチが回復を遅らせることはありませんが、痛みが強くなるためこの時期の治し方は安静が基本です。
関節が硬くなる拘縮期にストレッチを開始
五十肩を発症してから2週間ほどすると拘縮期(慢性期)を迎えます。
拘縮期になると安静時痛や夜間痛は治まるものの、肩関節を動かしたときの痛みが残ってしまうのです。
しかし、治すには拘縮期にストレッチを始めて肩まわりの筋肉が固まってしまわないよう対策する必要があります。
無理せずに軽くストレッチをすることがポイントです。
痛みが弱くなる回復期は積極的にストレッチ!
五十肩を発症してから半年ほど経過すると回復期に入ります。
回復期になると肩を動かしたときの痛みがなくなってきますが、後遺症を予防するためにも積極的にストレッチに取り組むことが重要です。
五十肩を発症した方のおよそ3割から5割が、発症から7年経っても何らかの痛みや動作制限に悩まされています。
後遺症に悩まされないためにも、症状が落ち着いてからもストレッチに取り組むことが五十肩の治し方と覚えておきましょう。
五十肩の改善におすすめのストレッチ6選!
五十肩の治し方の1つがストレッチです。
特に以下6つの筋肉をストレッチで緩めることがおすすめです。
- 胸郭
- 首
- 股関節
- お尻
- 前腕と肩甲骨
- 脇の下
各部にある筋肉の特徴と、ストレッチの手順について解説します。
五十肩の改善ストレッチ①胸郭のストレッチ
胸郭は簡単に言うと肋骨に覆われた胸部のことです。
胸郭の中でも肩甲骨とつながる小胸筋が硬くなると、肩甲骨の動きが悪くなり肩関節への負担を増加させます。
ストレッチの手順は以下の通りです。
② 両手を大きくバンザイのように上に伸ばす
③ 次に両手を横に大きく広げる
④ 30秒×3セット繰り返す
寝ながらできる簡単なストレッチなので、お風呂上りなどに取り組みましょう。
五十肩の改善ストレッチ②首のストレッチ
首には肩甲骨とつながっている筋肉があります。
ストレッチによって肩甲骨の可動域が広がると、腕を動かした際の肩への負荷が少なくなります。
ストレッチの手順は以下の通りです。
② 右肩が上がらないように意識しながら頭を左側へ倒す
③ 30秒たったら反対側も同様に行う(3セット)
気持ちよく感じる範囲でストレッチすることがポイントです。
五十肩の改善ストレッチ③股関節のストレッチ
歩くときに右足を前に出すと左手が前に出るように、股関節は肩関節と連動しています。
そのため、股関節が硬いと五十肩の回復を遅らせる可能性があります。
ストレッチの手順は以下の通りです。
② 右ひざに左の外くるぶしを乗せる
③ 左の外くるぶしでひっかけるようにして右ひざを右側へ倒す
④ 30秒たったら反対側も同様に行う(3セット)
膝関節に痛みが出る場合は無理せずに一旦中止してください。
五十肩の改善ストレッチ④お尻のストレッチ
お尻の筋肉(殿筋)が硬くなると、猫背になり頭の位置が前方へスライドします。
頭の位置が前方へスライドすると首や肩への負担を増すため、お尻の筋肉をストレッチして骨盤を起こすことが重要です。
ストレッチの手順は以下の通りです。
② 右ひざを曲げて両手で抱え、胸の方へ引き寄せる
③ 30秒たったら反対側も同様に行う(3セット)
ひざを胸の方へ引き寄せたときに、反対のひざが布団やベッドから浮かないよう注意しましょう。
五十肩の改善ストレッチ⑤前腕と肩甲骨のストレッチ
前腕や肩甲骨の筋肉が硬くなると、筋膜を介して肩関節の動きが悪くなります。
医学的根拠はありませんが、前腕と肩甲骨のストレッチは臨床上、五十肩の治し方として有効と考えられています。
ストレッチの手順は以下の通りです。
② 右手で左手の人差し指から小指をつかむ
③ 右手で左手の指を引っ張りながら手首を大きく反らす
④ 左手の指先を右手で右側に45度ほど回す
⑤ 30秒たったら反対側も同様に行う(3セット)
④のときに脇の下に何らかの違和感があれば、上手にストレッチできている証拠です。
五十肩の改善ストレッチ⑥脇の下のストレッチ
脇の下にある肩甲下筋や前鋸筋(ぜんきょきん)が硬くなると、肩甲骨や肩関節の可動域が制限される傾向にあります。
五十肩の回復期に入ったらより積極的に脇の下をストレッチしましょう。
ストレッチの手順は以下の通りです。
② 上半身をまっすぐに保ったまま左側にゆっくり倒す
③ 30秒たったら反対側も同様に行う
タオルを持つ両手は肩幅程度に広げるのがポイントです。
自宅でできる五十肩の改善法
五十肩を発症した場合、自宅でも次のような方法で改善を図りましょう。
- 急性期にはアイシングを行う
- 拘縮期以降は身体を温める
- 適度にストレスを発散する
- 十分な睡眠をとる
上記の方法を試しても、五十肩の急性期の痛みがあまりにも強い場合は、一時的に痛み止めの服用をおすすめします。
それでは自宅でできる五十肩の治し方について詳しく見ていきましょう。
【自宅で簡単!】五十肩改善法①急性期にはアイシングを行う
五十肩を発症してからおよそ2週間ほど安静時痛や夜間痛が続きます。
急性期にはアイシングを行うことで、つらい痛みを緩和することが可能です。
自宅の冷凍庫にあるアイスパックなどをタオルにくるみ、1時間につき10分ほど患部を冷やすとよいでしょう。
【自宅で簡単!】五十肩改善法②拘縮期以降は身体を温める
五十肩の急性期が過ぎたら、温める方向に切り替えましょう。
痛いからといっていつまでも冷やしていると、血行不良によりかえって症状の回復を遅らせる恐れがあるため注意が必要です。
お風呂に入って気持ちよく感じるようであれば、どんどん患部を温めることが五十肩の治し方の1つです。
【自宅で簡単!】五十肩改善法③適度にストレスを発散する
五十肩の急性期に無理をする必要はありませんが、拘縮期を過ぎたら適度にストレスを発散しましょう。
ストレスは自律神経のバランスを乱し、血行不良を引き起こすため、患部の回復を遅らせかねないためです。
ストレスを完全にシャットアウトすることは難しいため、自分なりのストレス発散法を実践するとよいでしょう。
【自宅で簡単!】五十肩改善法④十分な睡眠をとる
五十肩に限らず何らかの不調を改善するためには十分な睡眠が欠かせません。
睡眠中には脳内で成長ホルモンが分泌され、細胞分裂の活発化により損傷部位が修復されます。
適切な睡眠時間に関しては諸説ありますが、一般的には1日あたり6時間から7時間の睡眠が推奨されています。
自宅でできる五十肩の予防法
いったん五十肩を発症すると、回復までに長い時間と費用が必要になります。
そのため、普段から以下の点を意識して五十肩の発症を予防することが重要です。
- 肩まわりを冷やさない
- 栄養バランスの取れた食事を心がける
- 日頃から適度に身体を動かす
- 長時間の同一姿勢を避ける
自宅でできる五十肩の予防法についてさらに詳しく解説します。
五十肩の予防法①肩まわりを冷やさない
冷えは万病の元とよく言われるように、身体が冷えるとさまざまな不調を招くリスクが高くなります。
五十肩に関しても肩まわりが冷えて栄養状態が低下すると、発症リスクを高めると考えられます。
普段からお風呂に入って身体を温めるように心がけることで、五十肩の発症リスクを下げることが期待できます。
五十肩の予防法②栄養バランスの取れた食事を心がける
五十肩の急性期を過ぎたら、血行を促進することで症状の回復を早めることが期待できます。
例えばショウガやネギなどを日常の食事に取り入れると、血液の循環を促す結果に繋がります。
また、傷ついた筋肉を回復させるためには良質のタンパク源を取り入れることも欠かせません。
特定の食品だけを摂取するのではなく、さまざまな栄養素をバランスよく日々の献立に取り入れましょう。
五十肩の予防法③日頃から適度に身体を動かす
五十肩の原因に関しては現在もハッキリとしたことが分かっていませんが、運動不足による筋力の低下や血行不良が五十肩のリスクを高める可能性があります。
そのため、日頃から適度に身体を動かして筋力の低下を防ぎ、血行を促進することが重要です。
運動をする時間がないという方は、普段エスカレーターを使っている所を階段にしてみるなどちょっとした工夫をしてみましょう。
五十肩の予防法④長時間の同一姿勢を避ける
デスクワークを長時間続けていると、背伸びをしたくなりませんでしょうか?
長時間の同一姿勢は筋肉の緊張を招き、五十肩のリスクも高めるのではないかと考えられています。
特に首こりや肩こり、頭痛などをお持ちの方は、長時間の同一姿勢を避け、定期的に身体を動かすことがおすすめです。
五十肩の治し方は?自宅でできるストレッチ・改善法・予防法|まとめ
五十肩の症状は急性期・拘縮期・回復期の3期に分けられますが、発症から2週間が過ぎて拘縮期に入ったら、積極的にストレッチすることが五十肩の治し方の1つです。
今回ご紹介したストレッチはどれも簡単なものばかりなので、ぜひ日常の習慣にしてくださいね。
ストレッチを続けると五十肩の回復を早めるだけでなく、将来の後遺症のリスクを下げる結果にも繋がります。